「飲む日焼け止めを塗るタイプの日焼け止めの代わりに使うべきではない」という注意勧告がアメリカ皮膚科学会から出ています。
「飲む日焼け止めの効果は、科学的に証明されている!」という論文が宣伝に利用されていますが、論文をよく読むと日焼け止めとしては効果がないことが分かります。
化粧品を愛するものとして、このような消費者を欺く宣伝方法や、化粧品の信頼をおとしめるメーカさんがいることは残念でなりません。
飲む日焼け止めは、サプリメントタイプの日焼け止め。
飲むだけで日焼けが防げれば本当に凄いことですが、残念ながら宣伝されているほど日焼け止め効果はありません。塗る日焼け止めの代用として使うのは本当に危険です。
今回、飲む日焼け止めの主成分「フェーンブロック」と「ニュートリックスサン」の効果と飲む日焼け止めを使う際の注意点を紹介します。
- 飲む日焼け止めのSPFは1以下※1
- 飲む日焼け止めは少なくとも1か月以上飲み続けないと効果なし
- 飲む日焼け止めを過信しないよう、アメリカ皮膚科学会が注意喚起しています
- 日焼けを防げるのは『塗る』日焼け止めだけ※2
- 飲む日焼け止めは塗る日焼け止めと併用する
- 飲む日焼け止めは抗酸化サプリとして使う
※1:飲む日焼け止めの論文を元に計算した値です。ただし論文で行っている試験は、日本化粧品工業会が定めるSPF測定法と異なります※2:2018年5月時点
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ニュートロックスサンとは?
表示名称:シトラス果汁・ローズマリー葉エキス末
ニュートロックスサンは、シトラスとローズマリーから抽出したエキスで、飲む日焼け止めの有効成分のひとつです。
ニュートロックスサンの効果
ニュートロックスサンを毎日250mgを服用した場合
- 57日後にMEDが34%上昇した
- 85日後にMEDが56%上昇した
MEDとは、24時間後に肌が赤くなるのに必要最小の紫外線量で、日焼け止めの効果を表すSPFの測定や計算に用いられる単位です。
色白や光線過敏の人はMEDが低く、色黒の人はMEDが高い傾向にあります。また、日焼け止めを塗るとMEDは上昇します。
ニュートロックスサンを服用すると、85日後にMEDが56%上昇する!一見とっても効果がありそうに見える結果ですが、騙されてはいけません。
実際は何の効果もないことを表す数字です。どういうことか次で説明します。
ニュートロックスサンのSPFは1(換算値)
ニュートロックスサンを服用すると、85日後にMEDが56%上昇する!
これを日焼け止めの紫外線防止効果を表すSPFで表すと、SPF1です。
SPF1の日焼け止めと聞いて、使いたいと思いますか?
また、飲んですぐ効果がでるわけでもありません。海やプールに行く当日飲んでもまったく効果はありませんので、注意してください。
SPFの計算方法
【SPF=日焼け止め使用時のMED÷日焼け止め未使用時のMED】ですが、
ニュートロクサンの場合、MEDの数値が書かれていないので仮に、未使用時のMEDを10とすると、使用時のMEDは10×1.56=15.6になります。
したがって、SPF=15.6÷10=1.56
SPF表示は小数点以下は切り捨てる決まりなのでSPF1となります。
フェーンブロックとは?
表示名称:ダイオウウラボシ抽出エキス
フェーンブロックは、飲む日焼け止めの有効成分のひとつです。
PLエキスとも呼ばれ、中央アメリカに自生するシダ科植物「ポリポディウム・リュウコトモス(ダイオウウラボシ)」から抽出した成分です。
フェーンブロックを配合した商品には「シェードファクター」「ヘリオスケア」があります。
フェーンブロックの効果
フェーンブロック1,000mgを服用した場合
- 15日後にMEDが14.57%上昇した
- 29日後にMEDが20.37%上昇した
MEDとは、24時間後に肌が赤くなるのに必要最小の紫外線量で、日焼け止めの効果を表すSPFの測定や計算に用いられる単位です。
色白や光線過敏の人はMEDが低く、色黒の人はMEDが高い傾向にあります。
フェーンブロックを服用すると、29日後にMEDが20%上昇する!一見とっても効果がありそうに見える結果ですが、騙されてはいけません。
実際は何の効果もないことを表す数字です。どういうことか次で説明します。
ニュートロックスサンのSPFは1(換算値)
フェーンブロックを服用すると、29日後にMEDが20%上昇する!
これを日焼け止めの紫外線防止効果を表すSPFで表すと、SPF1です。
SPF1の日焼け止めと聞いて、使いたいと思いますか?
また、飲んですぐ効果がでるわけでもありません。海やプールに行く当日飲んでもまったく効果はありませんので、注意してください。
SPFの計算方法
【SPF=日焼け止め使用時のMED÷日焼け止め未使用時のMED】ですが、
フェーンブロックの場合、MEDの数値が書かれていないので仮に、未使用時のMEDを10とすると、使用時のMEDは10×1.2=12になります。
したがって、SPFは12÷10=1.2
SPF表示は小数点以下は切り捨てる決まりなのでSPF1となります。
飲む日焼け止めの使い方
アメリカ皮膚科学会の注意喚起
アメリカ皮膚科学会から飲む日焼け止めに関する注意勧告が出ています。訳文と原文は以下の通りです。
最近、日焼け防止効果があると標榜する経口サプリメントがメディアで議論されています。
アメリカ皮膚科学会は、これらのサプリを、塗る日焼け止めや、日焼けを防ぐ衣類の代わりに用いないよう、消費者に警告します。
現在、飲む日焼け止め単独で、有害な太陽紫外線から肌を適切に守れるという、科学的な証拠はありません。
塗る日焼け止めだけが唯一、日焼けを防ぐことができると、FDA(アメリカ食品衛生局)は規定しています。
少なくともSPF15以上の広域スペクトルに対応する日焼け止めだけが、日焼けや皮膚がんのリスク、光老化を防ぐことができると科学的に証明されています。
アメリカ皮膚科学会は、飲む日焼け止めを摂取する・しないに関わらず、「日陰を探し、日焼けを防ぐ衣服の着用し、ウォータプルーフ(耐水性)でSPF30以上の日焼け止めを使用する」ことを推奨します。
American Academy of Dermatology statement on oral supplements for sun protection
Recently, there has been discussion in the media about oral supplements that claim to provide protection from the sun. The American Academy of Dermatology (Academy) wants to alert consumers that these pills should not be used as a replacement for sunscreen or sun-protective clothing. There is currently no scientific evidence that oral supplements alone can provide an adequate level of protection from the sun’s damaging ultraviolet rays.
Sunscreen is the only form of sun protection that is regulated by the U.S. Food & Drug Administration (FDA). Broad-spectrum sunscreen with a Sun Protection Factor (SPF) of at least 15 has been scientifically proven to prevent sunburn and reduce the risk of skin cancer and early skin aging caused by the sun. Regardless of whether you choose to take oral supplements, the Academy recommends you seek shade, wear sun-protective clothing and apply a broad-spectrum, water-resistant sunscreen with an SPF of 30 or higher.
※引用 : https://www.aad.org/media/news-releases/american-academy-of-dermatology-statement-on-oral-supplements-for-sun-protection
飲む日焼け止めの正しい使い方
紫外線による活性酸素の抑制効果やDNAの保護効果はあるようなので、抗酸化サプリとして使うのが良さそうです。
飲む日焼け止めを使う際は、以下のことを注意してください。
飲む日焼け止めを日焼け止めとして使わない
SPF30以上・PA+以上の日焼け止めを併用する
子供、妊娠中・授乳中は使わない
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